みんなの声VOICE
しんちゃんの歩み~生まれるまで~(6)
<お兄ちゃんと離れ>
加えて、私たち夫婦の大きな課題の1つに、お兄ちゃんの問題がありました。
サラリーマンとして働く父親がいきなり、入院した母親の世話や双子の大事な選択をしつつ、まだ2歳にもならない子どもを育てていくことが難しいことは、考えなくても分かることでした。
悩んだ結果、双子のことがある程度見通しがつくまで、お兄ちゃんは、四国にある母の実家に預かってもらうことにしました。
父子は飛行機に乗って四国に降り立ち、空港まで迎えに来てくれていた私の兄に息子を預けました。義兄の車に乗せられて遠くなる息子の姿を見送った父親は、生まれて初めてこんなに涙が流れた、というくらい、声を出して泣いたそうです。
お腹の中の子どもの様子は、毎日、或いは少なくても2日に1度は、超音波で確認していました。
それ以外にも、もし不安になったらいつでも心音を聴くことが出来るからねと、病棟の助産師さんは優しく声をかけてくれました。
子どものこと、家のこと、未来のこと、全てが不安でならなくて、毎日何かしら泣いていたような気がするけれど、それでも子どもの元気な心音を聴くと、不思議と食べる元気が湧いてきました。純粋にお腹の空いた食欲とは少し違うかもしれないけれど、元気に子どもに会いたいという思いは、“食べよう”という気持ちに繋がっていたと思います。