みんなの声VOICE
しんちゃんの歩み~生まれてから~(3)
<弧育ての日々>
待ちに待った家族での生活は、家族”だけ”の生活とも言えるものでした。
実家の母は、出産前の入院生活をサポートしてくれましたが、疲弊し、引き続きの支援は難しい状況。義母も寝たきりの曾祖母の介護があり、孫育児の手として頼るわけにもいきません。
父さんは唯一の外での働き手。毎月の通院等に会社の有休を取って付き添ってもらったり、お兄ちゃんの保育園の朝の送りを担当してもらったり、可能なことを探りながらも限界があります。
今では、心ちゃんの笑顔は彼のトレードマークですが、当時は、ずっと笑いませんでした。
何かあるとすぐに泣いていました。
泣かないのは、ミルクを飲んでいるときと、私が抱っこをしているとき。
それ以外は、全身の身体をピーンっと突っ張らせ、お布団に寝ているのにまるで、今すぐ飛んでいきそうな人間ロケットのようでした。
そして、飲む、吐く、泣く。 飲む、吐く、泣く。の繰り返し。
重度の脳性麻痺で反りが強くなることは、主治医からもリハビリ担当のPTさんからも聞いていたので、少しでも落ち着いて過ごせるように、基本は抱っこ。お布団にゴロンと寝かせていてもすぐに反り返っていつ吐くかも分からない状態になるので、常に横にいなければなりませんでした。
まるでバク転をするかのように首から全身を反らせる心ちゃんを1日10時間抱き続けていたら、竹のようだと揶揄されるくらい細かった私の二の腕も、3か月で力こぶが出来ました。
そして、溢れ出ていた母乳も全く出なくなっていました。