みんなの声VOICE
しんちゃんの歩み~生まれてから~(1)
<NICUから在宅へ>
生まれてすぐに人工呼吸器をつけてNICUに入ったしんちゃんでしたが、すぐに呼吸も安定して人工呼吸器は数日で外れ、1週間もすると酸素濃度を上げる必要もなくなりました。哺乳も直接おっぱいを飲むことは難しかったものの、哺乳瓶からであれば徐々に飲めるようになり、お腹がすくと大きな声で泣いていました。
母は毎日搾乳した母乳を持って面会に行っていたのですが。
ある日、いつものようにNICUの中に入っていくと、なんとしんちゃんがいない!
場所が変わっただけかな、と、周りをキョロキョロ探してみましたが、全然見当たりません。
看護師さんに聞いてみたところ、
「あ、夜泣き声が大きくてうるさいから、GCUに動かしちゃいましたー」
、、、うるさいから?(笑)
2週間ほどで、あっさりNICUからGCUへと移動となっていました。
見た限り極めて順調に過ごしていたものの、お腹の中にいるときから脳に障害があることは分かっていたので、生まれてからは必要な検査が一通り行われました。それらが終わると、NICUでの主治医から検査結果の報告と今後の見通しについて、別室でお話がありました。
検査結果は、生まれる前にできた検査の結果とほぼ同じでした。大脳がほとんど無い状態で代わりに水が溜まっているような状態です。脳幹はしっかり形成されているように見えますし、幸い今は呼吸も問題なく、哺乳も出来ますし、うんちも出せています。頭の中の水が脳を圧迫するようになると、呼吸に支障が出てくる可能性があって、いつ呼吸が止まるとも限らず、今後のことは医者でも誰にも分かりません。ただ、いずれは人工呼吸器を使う必要が出てくると思います。
栄養も、今は反射で哺乳瓶から母乳を飲めていますが、反射が無くなるとともに飲めなくなってきて、鼻から入れたチューブから体にミルクを入れてあげるようなことになるでしょう。
ただ、今は本当に元気です。
今を逃すと、もしかしたらお家で家族みんなで過ごせる機会を逃してしまうかもしれません。
元気なうちに、ご家族での思い出をつくれるように自宅に帰りませんか。
(思い出づくりかぁ、、)
話は全て想定内のことばかりだったものの、家に帰ることが思い出作りという発想はなく、心に引っかかりました。
何だか哀しく響くキーワードだな、と。
あ。ただ、ネガティブな気持ちになったわけではありませんよ。
短い期間であるものの、しんちゃんが生まれる瞬間から立ち会い、厳しいこともいつもとても言葉を選びながらもしっかり話をしてくれる主治医のことを信頼していました。
帰れる、帰りたい。早く家族みんなで暮らしたい。
やっとお兄ちゃんにも会わせてあげられる。
楽しみで楽しみで、しかたありませんでした。
生まれてから3週間、しんちゃんがいよいよお家に帰ってきました。