みんなの声VOICE

しんちゃんの歩み~生まれるまで~(12)

<生まれた日(2/4)>

しかし暫くすると、今度はお腹に違和感が。

何となく痛いような張るような。

「まさか、陣痛?」

ただ、既にかなりの張り止め薬を点滴注入しながらコントロールされていたせいか、長男のときのような分かりやすい陣痛とは違っていて、確信が持てず。でも、腹痛とも違うその違和感に不安が増してきました。

「すみません、何かお腹がムズッとするんですけど」

念のために看護師さんに伝えて様子をみていたのですが、違和感は無くなるどころか続くようになっていました。

夕方になり、カーテンで仕切られた向こう側では、日勤の看護師さんの引継ぎが始まっていました。主治医もその中にいるようで、声が聞こえていました。

(先生が日勤で帰っちゃってからだとやばいな)

そう思い、またナースコールで看護師さんを呼び、お腹にまだ違和感が続いていること、陣痛のような気がするから心配だということを伝えました。医師に伝えますとのことで、ベッドで寝ながら待っていると、やってきたのはその日の夜勤担当の、入院後に私は一度も診てもらったことのない医師でした。

お腹の違和感だけで苦しそうでもなく、普通に話をしている私の姿に、医師は危機感を感じなかったのか、特に何かをするでもなく様子見でよいのでは、と話していました。

(これはいかん)

「先生、もし陣痛だったとしたら、この子は脳に障害があって、下から産むのはリスクが大き過ぎてダメなんです、帝王切開で産むことになってるんです。」

必死に説明すると、医師は分かりましたと言い、

「まだ張り止めの点滴強く出来るから、とりあえず、まずはそれで様子見しましょうね。」

看護師に指示を出して、スッとその場を去っていきました。

 

いかん、いかん。

これじゃ駄目だ。

このまま待ってたらいけない。

どうしよう?

とにかくもう一度看護師さんを呼ばなくては。

 

ナースコールをして、またまた看護師さんを呼び、改めて伝えようとした、そのとき。

間仕切りのカーテンがシャーっと開いて、中堅の看護師さんが走ってベッド横に来て大声で叫んでくれました。

「おかあさん!! 陣痛なのよね?陣痛!」

私がうなづくと

「分かった、待ってて!!」

 

数分で主治医が駆けつけ、さっそく内診をしてくれました。

(先生、帰ってなかった、よかった、間に合った)

ホッとした私とは反対に、医師の表情は真剣でした。

 

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