みんなの声VOICE

育ち~ハルくんのこと~

 出生2日目、呼吸困難、ショック状態で搬送。さまざまな救命措置が施されました。左心低形成症候群、両大血管右室起始症、完全大血管転位症、大動脈縮窄、僧帽弁狭窄であること。赤ちゃんは大変危険な状態であること。まだ会ってない祖父母はもう会えなくなるかもしれないから呼んで下さい。今晩が山になると思うのでお父さんは病院に泊まって下さいと医師から説明を受けました。あと数分搬送が遅ければ救命出来なかったそうです。

 

 出生4日目に心房中隔裂開術。出生5日目に大動脈再建術・肺動脈バンディング術。出生17日目に再手術。3か月後に退院しました。水分制限もあり、大変な新生児期でした。9か月で心カテによる大動脈縮窄解除術・コイル塞栓術。1才でグレン術・DKS術を受け、1才の誕生日はICUで迎えました。グレンの術後も肺炎にかかったりしてなかなか大変でしたが、この頃から始めた離乳食はとろみがないとむせ、2才くらいまでは食べること、飲み込むことにも苦戦し、GPPミルクが手放せませんでした。

 術後、在宅酸素を相棒に。高速寝返りと高速ずり這いが移動手段だったのが、お座り、つかまりだち、伝い歩きと、悪さをしたくて??成長していく悪坊主ぶり。動くとSPO2は70%にまで下がり、息切れするけれど、とにかく好奇心旺盛で悪い!武勇伝だらけの毎日でした。肺炎で入院したり、よく熱もだしました。

 

 

1才半頃梶原さんに出会い訪問看護で食べること、排便の事、言葉の事、兄弟の行事参加や酸素を持っての病院受診のこと、いろんな事を助けてもらいました。飲み込みが下手な事、言葉が遅いことに悩んでいると「そんなの塊ステーキかじらせたらいいのよ~~~」と梶原さん。ステーキ肉はないから自分で持てるバナナを持たせると食べれるように。初めての言葉が「おいちー」です。コップトレーニングのお茶を口にいれてもぶじゅーっと出してはぎゃはははは~~。牛乳パックを押さえてぶじゅーっと出してはぎゃはは~~。何をしても楽しそうでした。この頃から突然積み木やブロックをたかーく積み上げだし(半年以上積み木は上へ上へ積み上げ続けました)、バイキンマンが大好きに。母子通園の療育施設を紹介してもらい、集団生活の練習も始めました。

 

 2才前に心カテでコイル塞栓、2才でフォンタン術を受けました。術後は胸水がたまりなかなか良くならず・・・。約2か月の入院は心配もたくさんありましたが、看護師さんや先生方に大事にしてもらい、同時期に生まれた同志との絆も深まりました。入院中、話さない、目が合わないと発達外来にかかったりもしました。退院後は酸素がなくなり、ますますやんちゃになって・・・縦に積み重ねていた積み木が横に広がり、一人遊びをするようになり、描く楽しさを覚え、部屋中にマジックでわーっと書いたり、ワーファリンを飲んでいるのに網戸を突き破ってベランダに落ち、CTを撮りに病院へ走ったり、七五三の写真撮影前にも再度落下、ボクサーパンチのような顔写真を修整してもらったり・・・悪さも全開。3才を過ぎ、言葉が出始めましたが・・・「ちょうだい」「かして」「開けて」「離せ」。2語文を話せるようになっても「怪獣、描いて」「ごはん、食べる」4才の入園頃には3語文を話すようになったものの「おれさま、お茶、飲む」バイキンマンか~~(笑)という言葉のチョイス。インフルエンザにかかったり、RSウィルスで入院したりしましたが、手づかみで食べ方だって悪坊主。気が付けば知らない間に食べられるようになっていました。

 

 入園は地域を勧められていましたが、今の発達に一番合った場所でと福祉施設に入園。訪問看護の看護師さんにたくさん助けていただいてスムーズに入園出来、楽しい幼稚園時期を過ごせました。脱水や嘔吐でよく入院もしましたが、この頃は絵に夢中です。円をかいてだだんだんっぽいものを書いていたのが、色を塗ったり、動きも増えて・・・半年後には急激に上達。5才後半入学に向けて鉛筆にかえてからはさらにパワーアップ。テレビでみた映像を覚えて絵に書いたりするのがとても得意でした。またレゴブロックにも夢中になった時期でした。

 

 入学は地域の小学校の特別支援援学級に進みました。この頃は「桃太郎の鬼退治」を絵に描くことが多くなりました。悪者好きなので、鬼退治は鬼がメインです。本もたくさん読むようになりました。先生にも恵まれ、良いところは沢山伸ばしていただいて、学校行事も楽しく無理なく参加することが出来ました。

 

 3年生の夏休み、5年ぶりの心カテ。久しぶりの入院ですが、絶飲食も慣れたものです。カテ室に行っても先生が持っているタブレットの漫画が気になり、覗き込んで靴をはいたまま手術台にあがり、げらげら笑いながら麻酔で手品のように眠り・・・終わってからは管という管を引き抜いて大暴れ。大変でした。そして薬がまたひとつ増えました。

 そんなことはつゆ知らず、今では恐竜オタクに。福井県の恐竜博物館に行くほど恐竜に夢中です。恐竜を見る目は牛乳ぶじゅーっとしていた頃のように目がきらきら。恐竜の事なら何だって知っています。これから、中学、高校、そして自立にむけて悩みは沢山。問題は山積みです。これからもぎゃはは~~~といろんな困難を笑い飛ばして好きな事をおおいに生かせる仕事はないものか・・・食べていく術はないものか・・・インクルーシブケア。そんな大それた事のお役にはたてるかどうかわからないけれど、どうか力強く生きて行ける子になってほしいです★